稲盛和夫「心」より
2024.04.04・・・人生の目的とは、まず一つに「心を高めること」言い換えれば魂を磨くことにほかなりません。ともすると私たちは、富を手に入れたり、地位や名誉を求めたりすることに執着し、日々自らの欲得を満たすために奔走してしまいがちです。しかし、そうしたことは人生のゴールでもなければ目標でもありません。生涯の体験を通して、生まれたときよりもいくばくかでも魂が美しくなったか、わずかなりとも人間性が高まったか。そのことのほうが、はるかに大切なのです。そのためには、日々の仕事に真摯に取り組み、懸命に努力を重ねること。それによって心はおのずと研磨され、人格は高められて、より立派な魂へと成長を遂げる。まずはそのことに私たちが生きる意味があります。そしてもう一つ、人生の目的をあげるとすれば、「人のため、世の中のために尽くすこと。すなわち「利他の心」で生きることです。自らの欲得を抑え、やさしい思いやりの心をもって、他のために尽くす。それもまた、私たちが命を与えられた大切な意味だといえるでしょう。心を高めること、そして「利他の心」で生きるとこ。この二つは一体かつ不可分で、他のために尽くすことによってこそ心が研磨され、また美しい心をもつからこそ、世のため人のために働くことができるのです。・・・稲盛和夫著「心」のプロローグより抜粋