プロデューサーの仕事
2023.09.04この頃庭先を歩いても学校の裏を歩いても、無数のさらに無数の蜘蛛の巣に出合います。中でも完璧なあの幾何学的な張り巡らされた巣を見ると、なぜかダヴィンチとミケランジェロとあのサグラダファミリアを設計したガウディを思い浮かべます。なぜかわかりませんが。蜘蛛たちも生きるために必死なのだと思いよけて通ります。いろいろな人のいろいろな本を読むと素直にためになります。自分が豊かになる気がします。そこから自分をつくらねばなりません。自分をつくるためのインプットでなければ読書の意味がありません。思想家の内田樹さんは2019年死去の作家橋本治を尊敬していたことを知りました。かつて内田氏が教授をしていた神戸の女子大で自分のゼミに橋本氏を特別講師に呼んで講義をお願いされたプロデューサー論を。その中で橋本氏はプロデューサーの仕事は何かという問いを立ててから、橋本さんは「それは現場に行ったとき床に落ちている塵を拾える人です」と独特の定義を下した。スタッフもキャストもみんな「自分のこと」で手一杯で、「全体」を見ることができない。だから、床の塵にも気づかない。気づいても、それを片付けることが自分の仕事だとは思わない。誰かがやるだろうと思ている。でも「誰かがやらなければいけないこと」だけど「誰も自分の仕事とは思っていない」。だが手つかず残ったせいで、仕事が滞ったり、現場の雰囲気がとげとげしくなったり、あと大きなトラブルを引き起こすこともある。全体を見ている人だけがそれを未然に防ぐことができる。それがプロデューサーの仕事だよ。」と橋本さんはにこにこ笑いながら学生たちに語り聞かせた。学生たちは食ういるように橋本さんの話を聞いて、ノートをとっていた。今年亡くなった坂本龍一さんと福岡伸一さんの対談本も読みごたえがあります。