仁欲すれば、仁至る
2024.12.13論語の「子曰く、仁、遠からんや。我仁を欲すれば、ここに仁至る。」(仁を得とくするには相当の修行が必要でなかなか難しいな、と思うようなことはないよ。君が仁に少しでも近づきたい人に優しくなりたいと思えは、その時はすでに仁に近づいているんだよ)と私なりに解釈してて好きな論語の一つです。ロシアの文豪トルストイの翻訳で知られる北御門二郎さんはいろいろと説明すれば長くなるので一言でいえば熊本が生んだ偉人ですと私は言いたいです。トルストイの「戦争と平和」「アンナ・カレーニナ」「復活」の三大長編の翻訳出版をされましたが、「イワンの馬鹿」「人は何で生きるか」「人はどれだけ土地がいるか」「二老人」などのトルストイが書いた民話も翻訳されました。トルストイの散歩道と題したこのシリーズの巻末に北御門二郎の次女である小宮楠緒さんのあとがきがあります。北御門二郎さんの永年の夢であったトルストイの墓参りを終え、その帰路で、次女から生まれたばかりのお孫さんを早く一目見ようと小宮家に直行されます。カメラのフィルムケースに入れたトルストイの墓地の土を嬉しそうに見せた後、旅の疲れを癒そうとお風呂にいられます。お風呂にいられて間もなく、風呂から「決まった!」と大きな声を出してザバーッと上がってきて、「仁は遠からんや 我仁を欲すれば、ここに仁至るだ。この子の名前は仁至(ひとし)に決めたぞ」と言われたと、書いてありました。私はその文章を読んで嬉しくなりました。少しでも仁に近づきたいです。