理事長室
HOME / 竹原理事長の希望日記 / トルストイの
熱血理事長の希望日記

トルストイの

2025.07.25

岡潔:「トルストイは書かれていることが初めから形式論理の範疇にあるような気がする。それと対照的なのがドストエフスキーです。ドストエフスキーは次のページを予測することができない。」

小林秀雄:「そういうことはありません。トルストイも偉いです。言葉は乱暴ですが、トルストイには、言葉の飛び切りの意味でドストエフスキーと違って馬鹿正直なところがあるのです。ドストエフスキーという人には、これも飛び切りの意味で狡猾なところがあるのです。トルストイは真正直で健康な、鋭敏にして合理的な野生児です」

岡:「トルストイは人としてたいへん偉いですか」

小林:「偉いです」

岡:「徳富蘆花は会って感心して帰ってきましたね」

これは小林秀雄と岡潔の対談集「人間の建設」(新潮文庫)にある一節です。トルストイが今から120年前に書いた1日を1章とし、1年366日(2月29日含む)、古今東西の聖賢の名言を、日々の心の糧となるよう、結集・結晶させた、一大アンソロジー。晩年のトルストイが「序文だけでも100回以上推敲を重ね、6年の歳月を費やし、心血を注いで完成させた。総勢170名にものぼる聖賢の名言の数々は、まさに「壮観」。トルストイ自身、「自分の著述は忘れ去られても、この書物だけは、きっと人びとの記憶に残るに違いない」と語り、臨終の数日前にも、娘タチャーナに10月28日の章を読ませて、「みんないい、みんな簡潔でいい・・・そうだ、そうだ・・・」と呟いたという。トルストイを敬愛してやまない訳者北御門二郎の「心訳」による、わが国初の完全版。上・中・下巻。という「『文読む月日』」~ことばは神なり~」という本が横にあります。購入した日から何ページか読みました。トルストイの志を考えています。深くて重い志と考えます。私にはとても難解な志です。『一月一日(一)第二義的なもの、不必要なものを多く知るよりも、真に善きもの、必要なものを少し知るほうがよい。』このことばから十二月三十一日まで上・中・下巻1800ページに「ことば」が埋まっています。

TOPへ