
血肉となる読書
2026.06.16城北高校の創立者松浦シズエ先生の娘さんである米元三枝副理事長・本校松浦シズエ記念図書館すみれ文庫館長は大変な読書家です。日頃から本や読書の貴重な情報や資料を頂きます。今日も私にとって衝撃的な資料を頂きました。それはNHKEテレ番組「100分de名著」のプロデューサーである秋満吉彦さんの文章でした。その文章を紹介します。
「自分の体験を振り返っても、この本を読んでいなかったら今の自分はないだろう、あの本が自分をここまで連れて来てくれた、と思うことがいくつもあります。たった一冊の本が、ここまで人生を豊かにしてくれる。そんな可能性がある「読書」という行為を、体験しないのはもったいない。一人でも多くの人に、この醍醐味を味わって欲しい。私が、番組だけでなく著作や講演を通じて、ずっと「読書の魅力」を発信しつづけているのは、そんな思いがあるからです。
もう少し突っ込んで言いましょう。私が、多くの人に本を読んで欲しいと願うのは、それが【戦争を止めること】につながると考えているからでもあります。
突然、何を大げさな、とっぴなことを言い出したと思われるでしょうか。しかし、歴史を振り返ってみても、戦争が【止められなかった】ときというのは、人々が深く物事を考えることなく『なんとなく』勢いに呑まれて、流されてしまったときではないかと思うのです。第二次世界大戦の時の日本もそうだったのではないでしょうか。多くの人が『なんだかおかしい』『嫌だなあ』と感じることがあっても、周りへの同調と忖度を繰り返しているうちに、気づけば流れを止められなくなっていた。その結果が、甚大な被害をもたらしたあの戦争だったのではないでしょうか。もし、戦争が始まる前に、個々人が考え、疑うことをやめなければ、そのための力を手放さなければ、何かが違っていたかもしれません。
さらに、そこから80年以上が経った今、世界のあちこちで戦火が絶えず、国内では経済格差や分断がかつてないほど深まっています。第二次世界大戦前夜との共通性を指摘する声も少なくありません。そんな危機的な時代だからこそ、【本を読むこと】、つまり考える力を手放さないことがますます重要になっているのだと思います。読書を通じて、物事を批判的に見る力、瞬間的な感情に流されるのでなく立ち止まって考えるための力を養うこと。人類が積み重ねてきた叡智を見つめ直し、他者との共存の道を探ること。それが、戦争という人類にとって最大の悲劇を防ぐための、遠回りに見えて一番確実な防波堤になると、私は本気で信じています。だから一人でも多くの人に読書の楽しみを、そこから得られるものの大きさを知ってほしい。この【血肉となる読書】もその一助になってくれればと、心から願っています。」と書いてありました。
私はこの文章を読んで「私と同じ思いの人がおられた!しかも大きなメディアの中心にいる人物が!」と大きな喜びと強い衝撃を受けました!このような人がこの日本にいてくれたかと。NHKという最大メディアで「読書」番組に携わる人しかもプロデューサーが【私が、多くの人に本を読んでほしいと願うのは、それが「戦争を止めること」につながると考えているからです】と《言い切る》人物がいることに衝撃を受けたのです。米元三枝すみれ文庫館長に感謝するとともに、この血肉となる読書に大きな希望が湧きました。この文章は私のこれからの人生の背骨の支えになります。読書をする若者をもっともっと城北高校から増やしていきます。
